リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

本「これからの男の子たちへ」太田啓子著

タイトルは男の子たちへですが、誰にとっても大事なことが書かれていると思う。

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以前に読んだ記事で「性被害の話になると「でもハニートラップとかもあるから」と言う人は交通事故の話で「でも当たり屋もいるから」と言うのか?」と書いてあって強烈な印象を受けた。

実際に伊藤詩織さんの性被害の話になって「ハニートラップもある」と私に言ったのは同じ女性だった。そして私はその時、瞬時にこの突っ込みができなかった。

(何ヵ月も後に「ブラックボックス」を読んで、それがどれだけひどい被害だったかその人にもう一度説明したけど)

 

男でも女でも社会的影響を受けていて、思い込みやジェンダー平等に逆行する認識を持つことは普通にあるし、自分で意識して変わろうとしないと容易にその場の「空気」に黙ってしまう瞬間がある。と、自分を弁護するわけじゃないけど思う。

 

勇気を出して声を挙げた側に対して「それ別の話でしょ」ということを持ち出して論点をずらされてボーっとしていてはいけないと自戒の念を込めて思う。

 

「男の子はアホで可愛い」「女の子はしっかりしてる」「やっぱり息子はかわいい」子育てしながら何度もこういう話で盛り上がったこともある。

女の子しか育てていない私にとっては人が連れてる男の子が特別可愛く感じることは本当だし、新鮮なので面白い。

でも普段は「性差より個人差やろ」とか言っておきながら、自分はダブルスタンダードだったなぁとこの本を読みながら思った。

 

確かにタイトルどおり男の子を育てている人にとっては有益な一冊だと思う。

でも子育てしてなくても、すべての人にとって気づきの多い本なので老若男女にお勧めです。

ちなみに対談が三つあるんですが、桃山商事代表の清田さんと言う方との対談が面白かったのでつまみ読みしたいかたはそれだけでもどうぞ。

本「ある奴隷少女に起こった出来事」(ハリエット・アン・ジェイコブズ著)

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ある奴隷少女に起こった出来事

びっくりした。

とにかくものすごい力のある文体で読み始めたら一日で読み終えた。

1813年米国ノースカロライナ州生まれの黒人奴隷だった著者。

白人の作者よるフィクションだと思われていたこの物語が最近の研究で実際の黒人女性による実話と判明し126年ぶりにアメリカでベストセラーになった。

 

120年以上だってからアメリカで見直され古典文学のベストセラーになった本ですが、そんな昔に書かれた話だとは到底思えない。

人間が同じ人間をモノ扱いするということがどういうことか。

これでもかというほど突き付けられる事実、特に女性であることの苦しみ、奴隷制が結局は白人社会をもむしばむその不健康さ。

正直しんどいテーマだと思った。

なのに闘い続け、諦めないハリエットにドキドキさせられっぱなしで読むのをやめられなかった。

 

手に取ってから迷われた方はぜひ翻訳された堀越ゆきさんのあとがきだけでも読んでみてほしい。

 

会社員の彼女が出張先に向かう新幹線の中でこの英語版と出会い、衝撃をうけ、今の自分の問題意識や自分の後の世代に想いを馳せ翻訳するに至ったか。

そこだけ読んでも十分ドラマチックな読み物です。

いい訳を作る人はやっぱり日本語力がすごいなと唸る文章でした。

 

とはいえやっぱりハリエットのこの文章が200年後に読み継がれることのの意味は相当大きいと思うし、これをこれほど読みやすく訳してくれた訳者の方へのレスペクトも込めて一人でも多くの人に読んでもらいたいです。

 

ほんと、軽薄な意味ではなく面白くってびっくりした。

 

 

映画「あのこは貴族」

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あのこは貴族

80年代生まれの岨手由貴子監督の作品。

普段あまり日本の映画を観ない私ですが、前宣伝を見たときの門脇麦さんの迫力と観た人がみんな絶賛しているのでこれは劇場で観といた方が良い気がした。

 

予感は的中でした。

 

ガールズムービーでも格差階級をきりとった社会派映画でもない。

 

でも観始めたら最後まで集中力を途切れさせない、独自の世界のある作品でした。

 

岨手監督自身が日本の本当のお金持ちをかなり取材したとあって、単純にこんな世界があるのかと知らない世界を見せてもらえる映画の醍醐味がある。

 

一方で地方出身者の東京で暮らす日々も随所に共感ポイントをちりばめて丁寧に救い上げている。

 

何より配役と役者の演技がすごい。

観た人がみんな絶賛してますが主役の水原希子さんと門脇麦さんがあまりにも役にぴったりで怖いくらい。

 

こんな作品にもし若い時に出会ったら咀嚼するのに時間がかかっただろうなぁ。

ただ、最後のシーンが私は思い過ごしかも知らんけど(あ、アカンやつや)と思った。

これをハッピーエンドと思えないのは私が年を重ねたからかもしれません。

もしくは階層が貴族じゃないからかもしれません。

高良健吾さんが演じてるから素敵だけどさぁ。

 

まぁそんなことをぐるぐる考えるくらいに力のある作品でした。

興味のある方は是非劇場で!

 

 

 

 

国際女性デー

3月8日は国際女性デーですね。

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写真は二人目の子どもを産んだばかりのころに母親が持ってきてくれたミモザの花束です。

 

「自由の国アメリカ」の第四話目は女性の権利がテーマでした。

 

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1920年に女性参政権(合衆国憲法守勢第19条)が批准されたアメリカでも避妊や中絶や出産を女性自身が決定する権利への闘いは続いています。

 

日本の状況も、男女の賃金格差や医学部の不正入試、、、やっとれんなと思う事もたくさんありますが、歴史の通過点として今を見ることもやっぱり大事。

周りを見ればピカピカ素敵な「わきまえない女」も、新たな気付きに認識をちゃんとアップデイトしていける同世代も男女問わずたくさんいる。

 

 「自由の国アメリカ」の第三話で女性が語ったこのセリフが本当にそうだと思った。

正当な権利を主張してフェアじゃないと抗議しようとしたら「焦るな」「今じゃない」「もうちょっと冷静に」と言われる。

「じゃあどうやって抗議すればいいの?」とこっちが聞きたい。

でも街頭で抗議しても、フットボールの試合中にひざをついても、デモで交通を停滞させても「ダメ」と言われる。

「受け入れやすい抗議方法」なんて本当は無い

 

世界中色んな場所で、自分も変わっていきたいし、みんなで変えていきたい。

 

2021年3月8日国際女性デーに思う。

 

 

つぶやきで英語力をつける

感動したら誰かに伝えたくなり、その感動を共有したくなるものです。

 

「自由の国アメリカ(#amendnetflix)」にハマっていることを伝えるときに英語にするならどういえばいいかなと思ってまず頭に浮かんだのが

 

I'm really into #amendnetflix.

このintoは一文字でハマってる感じが伝わるので便利。 

 

他には「この番組には中毒性がある」という意味の

#amendnetflix is very addictive.

I am addicted to #amendnetflix

 これはどちらかといえば「見るのをやめられない」「沼にハマる」「推し」的なちょっと病的な意味に使われる。

こういう硬派な番組だとニュアンスが伝わらないかも。

で、ツイッター英語圏の人がどうつぶやいているか検索してみた。

ハッシュタグをつけて英語名のタイトルを入れると出てくるわ出てくるわ。

 

I binged it over the weekend.#amendnetflix

週末はこのシリーズを一気見した

#amendnetflix is the historical lesson we all didn't in public school.

学校では教えてもらわなかった歴史の教訓だ

I'm five epixodes deep in #amendnetflix and I've yet to get through a single episode without crying

第五話まで見終わったんだけど泣かずに見終えたエピソードは一話もない

#amendnetflix is incredibly movind and informative.

この番組には気持ちを揺さぶられるし新たにたくさんの事を知った

 そして私も本当にそう思うけど

Bravo for to everyone involved.

この番組を制作してくれた関係者全員にブラボー!

 特にこういう歴史のドキュメンタリー番組に字幕を付けるって本当に大変な作業です。

まず出てくる話者の名前と役職名と調べ「人名リスト」と作る。

出てくる歴史的事実を正式な文献を遡って調べて「裏取り」をし、違っていればその点を明記する「申し送り」を作る。

英語を日本語にする以前に、1時間の番組に字幕を付けるのにどれだけ膨大な時間がかかることか…。

 

ということで、日本語字幕でこの番組を視聴される皆さんはぜひ字幕製作者にもブラボー!とレスペクト!を。

 

Netflix「自由の国アメリカ 闘いと変革の150年」その2

前回の第一話に続き、第二話も見終わりました。

第二話は奴隷制廃止と法の下の平等が謳われた「合衆国憲法修正第14条」が成立したあと、どれだけ残虐な黒人へのリンチが行われたかを詳細に伝える内容だった。

 

木に吊り下げられた黒人の周りで笑いながら記念写真を撮る群衆の写真。

橋から吊り下げられた黒人の写真がポストカードにされたことも初めて知った。

自分より他者が劣っていると文化的にも社会的にも教え込まれた人間がどれだけ残虐になれるかを、これでもかと突き付けてくる。

「不安」が、他者への「攻撃」という逃避に向かう恐ろしさも。

 

正直私は最近の南部の英雄たちの銅像が倒される報道をみながら「昔のことをそこまでやるんやなぁ」と思っていた。

その自分の浅い認識を張り倒されるような気持ちになるエピソードだった。

 

作中でトランプ元大統領が「「風と共に去りぬ」の風をもう一度ふかせよう」と演説するシーンが出てくる。

これはまったく「昔」の「歴史」の話ではない。

 

 

以前にこのブログで「風と共に去りぬアメリカ」という新書を紹介したことがある。

tototomoton.hatenablog.com

 

知らなかったことをそのままにしたないためにも次のエピソードに進みたいと思う。

Netflix「自由の国アメリカ 闘いと変革の150年」

www.netflix.com

一話目を見おわってすぐ更新しています。

めちゃくちゃ面白い上に、構成もキャストもすごく練られているので、だれもがあっという間に引き込まれるシリーズです。

 

どれだけキャストが豪華かというと、司会はウィル・スミスだし、「グリーンブック」のマーシャラ・アリが奴隷解放運動の創始者フレディック・ダグラスを、「シカゴ7裁判」や懐かしいところでは「(500)日のサマー」のジョセフ・ゴードン=レヴィットに、「交渉人」でしびれる格好良さのサミュエル・J ・ジャクソン、私がすごく好きなランドール・パークも登場してます。

例のごとく邦題がめちゃくちゃ安直で全然かっこよくないけど、そのせいで見過ごしたらもったいないです。

元奴隷だったフレディック・ダグラスの名演説をマーシャラ・アリが再現するシーンは相当にシビレます

 

そして、アメリカ合衆国憲法修正第14条が作られる過程のみならず、その事実と今を最後につなげる構成が秀逸です。

ちなみに元のタイトルはAMEND(修正)というそのままのタイトル。

建国の父の作った曖昧な「夢」や「平等」や「自由」の憲法を修正することで、人々がどうやって法的な権利を獲得していったかが胸に落ちる第一話でした。

続きが楽しみ。