リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

本「スゴ母列伝」(堀越英美著)

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もう一冊、こっち先日のビブリオバトルで紹介されてて面白そうだったので、こちらもメルカリでサクッと買いました。

 

読みながら声を上げて笑ってしまい、面白さを伝えようとしたら家の者から「俺は他のことしてるから邪魔せんといて」と言われました。

(いま武田砂鉄さんの帯の言葉を読みながらあまりの偶然の一致に驚いています。)

 

とはいえ、ほんとに面白いから!

リンドグレーンとかキュリー夫人とかモンテッソーリとかも面白いけど、全然知らなかった養老静江さんとか青山千世さんとかリリアン・ギルブレイズさんとかどの人も生きざまが鮮やか!!!

 

もう、スゴすぎてエンパワーされるので皆さんも是非。

サクサク読めますが、内容の濃度は保証します!

 

本「つまらない住宅地のすべての家」(津村記久子著)

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津村記久子さんの話はとても共感して読めるのだけど、長編ともなると引きこもりの連休がうってつけだと思ってメルカリでサクッと購入。

 

なによりこの装丁がすごく好み。

ある意味ジャケ買いでしたが、内容も面白かったです。

ただ普通に考えて異常に登場人物が多いです。

 

最初の方は(この人誰だ?)ってなって最初に載せてくれている敷地図を見ながら読むという(面倒だなコレ)感がぬぐえないのですが、途中でハッと(人間関係ってそもそも面倒は避けて通れないのだった)と思い出すという臨場感(?)も味わえる一冊です。

設定自体は(そんなにみんな繋がっていくか?)って違和感が何故か受け入れてしまえるところが津村さんの文章の力。

 

満足して読み終わった後で、パラパラめくったTIME誌の「三月に読むべき本」の書評コーナーで津村さんの「この世にたやすい仕事はない」の英語版が紹介されていました。

 

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最後の一文に驚いた。

著者の後期資本主義への 鋭い視点と考察が読者に新たな発見を与えてくれる

【勝手な訳です】

 

まぁ確かに今生きてる社会を俯瞰して、個別の事柄を有機的に見せてくれる津村さんの小説はそいういう感じなのかもな。

 

Netflix「スピードキューバーズ」

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常に良い作品を教えてくれるお知り合いに「今ネットフリックスでお薦めなのは何?」と聞いたところ、意外なドキュメンタリーを勧められました。

「これ宣伝読んでも絶対観ようと思わないかもしれないですけど、40分だし観てください。ルービックキューブ?って思うかもですが、すごい良いです」と。

 

正直(え?ルービックキューブ?まったく興味ない)って思った(笑)

 

で、見始めてすぐ(あ、これ良いドキュメンタリーや)と分かった。

子育て中の人なら共感ポイントは間違いなくあるし、こんな競技が世の中に存在することに普通に興奮する。

なによりもその人が言ってた「観ると、良い人でいたいなと思える作品です」というのがすべてを物語っていると思う。

ほんとに契約している人みんなにチェックしていただきたい!

40分だから騙されたと思って再生ボタン押してください!

 

ちなみに、以前に彼女に勧められてみたドキュメンタリーは「ミス・アメリカーナ」

 

こっちもドすとらいくでした!↓

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ビブリオバトル「温故知新」

以前ムビリオバトルについて書きましたが今回は生まれて初めてビブリオバトルというものにリモートで参加してみました。

 

「温故知新」というお題を聞いた時から以前読んだ「ある奴隷少女に起こった出来事」を紹介しようと思っていた↓

 

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200年以上も前に生まれた女性の自叙伝ってだけでもテーマにピッタリ!

と、思ったら本はすでに返却していて手元になく、仕方なくメルカリで買ったペンギン・クラッシックスの英語版を出してきた(なんと350円!)

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要点と時系列だけ整理しようと思ってページをめくったらニール・アーヴィン・ペインター教授のイントロダクションだけでもすごく面白い!!!

 

ハリエット・ジェイコブズが白人の友人に「買い取ってもらい」自由の身になってから執筆したこの本はリンカーンが大統領に就任した1861年に出版されている。

最初は彼女自身、教育を受けていないことを惹け目に感じ、誰かに自分の体験を本にしてもらおうとしたらしい。

実際にエピソードのいくつかは南北戦争のきっかけになったともいわれる「アンクルトムの小屋」を書いたストウ夫人にも伝えていた。

でも、のちにストウ夫人がハリエットの体験の裏取りを彼女の承諾もなしに彼女の元奴隷主の家族に行ったことや、出版の交換条件としてハリエットが自分の娘をストウ夫人のイギリス視察旅行に連れて行って欲しいと頼んだ際のストウ夫人の高飛車な態度に腹を立てて、「もうええわ!自分で書くわ!(と、関西弁では言ってない)」と思うに至っている。

 

原稿を娘に推敲してもらい、書き上げた後も予定していた出版社がつぶれたり、次に当てにしていた出版社も活版印刷の文字組みまで終わってたのに印刷前につぶれたり、、、これでもかという逆境。

もちろんめげないハリエット。

 

もはやこれはこれで面白い読み物ですが、その色んな節目にハリエットを支える格好良い女性たちもいて(ストウ夫人は例外だけど)、そういう意味では胸の熱くなるシスターフッド物語でもある。

 

さらにこんなに必死の思いで出版にこぎつけたのに長い間「当時の黒人奴隷にこれが書けたはずはない」と忘れ去れていたこの物語を1980年代後半から90年代に掘り起こした黒人女性研究者たちがいて、今はアメリカの古典の一つに数えらえていることを思うともう、時間軸を横にも縦にも編み上げたシスターフッドタペストリのような作品です。

 

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ということで、1999年にカーペンター教授が書いたイントロダクションのさわりの部分だけでも和訳してみました。

私のつたない訳で彼女のハリエットへのレスペクト溢れる筆致が伝わると良いのですが…。

 

ハリエット・ジェイコブズ著「リンダ 7年間身を隠したある奴隷少女に起こった出来事1861年発行)」は有名な19世紀アメリカ黒人女性の自叙伝だが、当時の多くの女性奴隷たちの自叙伝(ソジャーナ・トゥルースなどが代表的)が口述筆記されたものだったことを思うと著者本人が強調するように「自ら綴った」ところに大きな意味がある。

ジェイコブズは自ら本を執筆しただけではなく、彼女自身が奴隷廃止論者として精力的に活動し、またな読書家であったために、当時の文芸界のジャンルについても詳しかった。奴隷制度という強大な敵と団結して闘うアフリカン・アメリカンの家族を描写しつつも、当時の定番であった感傷的で虚構に満ちた奴隷の物語とは一線を画し、彼女自身の物語を紡ぐことに彼女はこだわった。そのためにも女性の視点が必要だった。自覚的に目覚めたフェミニストとしてのジェイコブズの視点は奴隷制度がどれほど社会道徳を蝕み、黒人も白人も、金持も貧乏人も、あらゆる人々と家族を腐敗させるかを雄弁に語る。彼女こそが黒人女性の生き方を分析した、この分野の土台を築いたと言える。

 

この物語は主に3つの点を読者の目の前に描き出して見せる。

 

まずは奴隷主と奴隷仲介業者によって黒人がどれほど抑圧されたかだ。

鞭うたれ、強姦されるという身体的苦痛はもとより、精神的な抑圧についてジェイコブズは多くのページを割いている。南部の奴隷州でごく一般的に行われていた家族から引き離され、子どもを放棄させられ、性的に搾取され、精神的に無能だと思わされるという魂の壊死ともいえる精神的な暴力が奴隷制度の核心の部分であることが語られる。

 

次に、“幸せな黒人奴隷”という幻想を徹底してジェイコブズは否定する。元奴隷の奴隷廃止論者として彼女は常にアメリカ社会にはびこる定番かつ嘘っぱちのこの神話と闘ってきた。13章ではこの奴隷制度を肯定する議論に対して、奴隷の劣悪な状況を詳細に語り、北部の人間が「奴隷は現状に満足している」とどうやって信じ込まされてきたかを告発している。

 

最後に、そして最も勇気のいる主張でもあると思うが、ジェイコブズは黒人女性奴隷の道徳観はそうでない立場の人たちと同じ基準で語られるべきではないと主張している。自己決定権をもたない、自分や我が子を人質に取られた状態で拒否する権利を奪われている存在としての女性奴隷の悲哀を克明につづり、この悪のシステムにおいて、個々が必死で抜け道を模索したとしても、他者の所有物である奴隷に自らのモラルを守る力はなく、自らの純潔や我が子の体の尊厳を守ることはできないのだと。 

雑誌TIME 2021年3月15/22日号  ギンズバーグ判事のカラー特集

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この号のTIME誌で22-23ページはアメリカの最高裁判事だった故ルース·ベーダー・ギンズバーグ判事の必須アイテムだったつけ襟のコレクションを特集しています。

 

2009年にワシントンポスト誌のインタビューで彼女は「標準的な法服は男性向けに襟元はシャツとネクタイが見えるデザインになっていた」と語っている。

「それでもう一人の女性判事だったオコナーと一緒に私は胸元にレースのひだ飾りをつけることにした」

 

その初期のレース飾りがこちら↓

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そこから発展してギンズバーグ判事が自分のトレードマークにしたのが黒い法服にエレガントに映えるつけ襟の数々。

 

そのほとんどは友人や支持者からの贈り物だったそうですが、例えばエクアドルのビーズで編み上げられた「プライドカラー」はこちら↓

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多数派として賛成票を投じる時にはこんな華やかなカラーを↓

 

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うって変わって保守化する最高裁で少数派の反対票を投じるときは鎧のようなカラーで戦いに挑んだそう↓

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どのつけ襟も素敵ですが、職場の人の結婚式で贈られてから、結婚式用にしていたというこれが私は一番好きでした↓

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全部は紹介しきれませんが、入手できる方はぜひこのTIME誌はおススメです!

 

映画「ブックセラーズ」

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新聞で映画評を読んで行きたくなって緊急事態宣言前夜の昨日駆け込みで観てきました。

 

大した補償もせずに生業を休めと言う政府への怒りを込めて売店でコーヒーもパンフレットも買いました。

 

会場は意外なほど混んでいました。

 

このマイナーそうな映画(失礼すぎる!)ですらこれだけ入っているということは、大阪中の映画好きが地元の映画館を守りたくって色んな映画にお金を落とす静かな決起集会だったのかも。

 

で、内容ですがこれはほんっとに映画館で観れてよかった!

 

これまでに行った様々な場所の本屋さんの事が色々思い出されて、ニューヨークのあこがれの本屋さんにいつか行ってやるという人生の野望も生まれ、さらにこの分野でも女性の活躍や貢献の検証が進んでいることに胸が熱くなりました。

 

随所にスパイス的に挟まれるフラン・レボウィッツのコメントが最後の最後までいかしています(ゆめゆめエンディングロールが終わるまで席をお立ちになりませぬよう

 

とはいえ、時節柄これを見逃す人も多いと思うので、フラン・レボウィッツの部分だけでもネットフリックスのこの番組でお楽しみください。

 

www.netflix.com

 

 

絵本「3人のママと3つのおべんとう」クク・チスン作

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近所のまちライブラリーが桜特集をしている棚で見つけました。

なんだかどの人にも寄り添う様な優しい絵本でした。

うちの場合はおべんとうを作るのは主に相方なので私以上に「ええ絵本や」と内容が沁み込んだ様子です。

 

個人的には外に働きに出ている私は会社員のジソンさんに共感しました。

 

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でも読み聞かせたら娘からは「驚くほど(絵本作家の)ダヨンさんが(わすれっぽくて)ママに似ている」と言われました。

とはいえ、この絵本を作ったチスンさんがダヨンさんのモデルのようなので光栄ではあります。

 

この作家さんは同時に「3人のパパと3つのたなばた」という絵本も刊行されているそうです。

韓国カルチャー、ドラマや映画、本だけでなく、絵本の分野でも注目ですね。

 

あ、翻訳は斎藤真理子さん。

以前に紹介した「82年生まれ、キム・ジヨン」の翻訳もされている方ですね。

 

tototomoton.hatenablog.com

良いお仕事をたくさんされているんだなぁ。