先週木曜日にこの作品を見てきました。
村上春樹作品をデンマーク語に翻訳してきた女性のドキュメンタリー。
言葉への執着が、村上作品への愛着が、そして自分の訳出への絶え間ない疑問と研鑽がすごかった。
私は中学生くらいの頃に「ノルウェーの森」を読んで以来、村上作品を何冊か読んで勝手に(なるほど)と納得して読まなくなっていた。
ところがカリフォルニアのバークレーに滞在したら、アメリカ人のママ友もパパ友も隣の家のアーティストも、ロシア人のママ友まで「ムラカミの新作読んだ?」と聞いてくる謎の現象に(ヤバい日本人でムラカミを語れないとアホやと思われる)と焦って出会いなおした村上作品。
実は短編がエッジが効いて面白いことや、エッセイがかなり共感することを発見した。
現代作家の中では最もたくさんの言語に翻訳されている作家と言われる村上春樹。
その広がりを支えてるのは、世界各国の村上マニアなのだなぁ。
翻訳は孤独な作業だけど、同時にデンマーク人の彼女はフィンランドとか他の国の村上作品の翻訳者たちとも英語で翻訳作業の話で盛り上がっていた。
映画の中でその光景が一番幸せそうに思えた。
多分村上作品にはそういう孤独と共鳴しつつ、人にも関わりたい人が惹かれるのだろうなぁと思った。
映画は村上春樹への想いが溢れてますがご本人は全く登場せず、独特の手法で撮られてたり、主役がデンマーク人のデンマークのドキュメンタリーなのにほとんどの舞台が日本なのもかなり興味深く、引き込まれる作品でした。
万人受けするとは思わないけど、シンとした気持ちになりたい方にはオススメです。