翻訳とか字幕とか外国語を日本語にしたいという欲のある人にとっては興味深い読み物だと思う。
所詮自分の使える日本語しかうまく文章にはのらないといいう事を痛感するんです。(中略)だから結局、自分にしっくりくる言葉には限りがあって、それを活用するしかない。(中略)だからもちろん、自分に使える言葉を豊かにするために、いわゆる日本語を磨く、いい文章をたくさん読むというのは、原理的には大事だと思うんですけれども、そうやっていわば下心をもって、いわゆる美しい日本語を読むという事を自分に強いても、そううまく自分の中には染み込まないんじゃないかと思うんです。(38しっくりする言葉しかつかえない)
柴田先生の「意見」はほとんど断定がなくて、どれも「思うんです」って書いてあるところが、心もとないのに説得力がある。
まぁ、こんな感じで柴田先生が過去30年に語った事を編集者の方が100個抜粋したのに、ちょこっとご本人からのコメントが付いている本なのでパラパラと気軽にどこからでも読める。
100個目の意見に深くうなずいた
翻訳を続けてきた僕にとっても、英語はまだまだ勉強中の言語です。だから読めるという事だけで今も嬉しいと感じます。僕が文学をやって来た根底には、常に英語という外国語を読めて、感動できることの喜びがあり続けているのです。(100 英語を読める喜び)
先日、通っている英語学校の先生から月に一度くらい渡される評価シートをもらった。
アメリカ人の先生なので基本は褒めてくれるんだけど最後に
She still struggles with L/R.
依然としてL/Rの発音について彼女は苦しんでいる
と、あった。
そうよ!苦しんでいるよ!
ぬ?
そうか?
しゃべってるうちに、どうでもよくなってる気もするぞ?
でもこれって、たぶん聞いてる方はやっぱり気になる箇所なんだよねぇ。
苦しいのが楽しい、それが外国語の醍醐味です。
あ、もっとマニアックな柴田先生に出会いたい方はこちらもおススメです↓