こういうハウツー本を買おうと思う事はあまりなかったですが、この人の言語があまりなじみにのないアラビア語だった事と、最近ハングル語講座をテレビで見ているので「今から英語以外の新しい外国語を学ぶ日本人必読の書」というフレーズに興味を惹かれて読んでみました。
著者は慶応大卒外務省入省のエリートなので「自分は不器用で、決して要領の良い男ではありませんし、暗記力が特別優れていたわけでもありません」とか書いてあっても「ほんまかいな?」と先入観をもって読み始めましたが、まぁ書いてること書いてることその通りだわこれっ!的な共感ポイント満載でした。
辞書もなかったアラビア語を自作の単語帳をコツコツ作る。
試行錯誤しながら、人からのアドバイスは素直に受け入れる。
とにかく自分が話せるようになったのは努力をしたからで、
外国語の習得には1パーセントの才能もいりません。器用でなくてもいいのです。正しい方法と謙虚さをもって努力するのみです。
と、言い切る根拠がしっかり書いてあって、読み終わることには良書だなと納得しました。
あのアラファト議長の通訳も務めてたり、イラクでの日本人人質事件のときにはアルジャジーラ放送でアラビア語の同時通訳をしたエピソードなどもあってかなり興味深い一冊でした。
あと、スピーキングが何より大事って言うのも読んでいて腑に落ちる箇所が満載でした。
発音が悪いことを気にする日本人が多いが、言葉を発しなければ悪いかどうかも、直し方も分からない。
さらに、リスニング重視したところで
あなたが外国語で話せなければ、外国語をリスニングする能力が必要な場面もほとんどないはずです。
そりゃそうだわ。
自分の事を話さない人に、うちあけ話してくれる人って国籍問わずそんなにいないよね。
そして深い話になればなるほど言語はいわゆる4技能とかを超越してくると私は思う。
(余談ですが、アメリカでママ友同志で話してるときに、日本人の私がいることを忘れて途中から早口になって夫婦の悩みを話し合うアメリカ人ママたちの会話を必死で聞き取りつつ、これってなんでこんなに聞き取れるのかと思ったことがあった。その時に己の興味分野だと人間の脳は新しい領域の力を発することを知った)
英語脳と言う言葉も独り歩きしていますが、大人になってからの語学学習ではとくに、日本語でどれだけ思考して、その日本語に対応する単語を思い出せるか=日本語脳こそ問われるというのは全く同感でした。
まぁ、語学そのものに興味のない人にとっては、面白いかと言われれば微妙ですが、少なからず母国語以外を学んでみたいという人にはお勧めの一冊です。