このシーンは子ども心に覚えている。
ものすごく美しいビビアン·リーの細いウエストを締め上げるマミー(メイド)
映画と本のどちらを先に観たのか今では記憶が薄れているけれど、小説も続編の「スカーレット」も読んだのは中学生だった気がする。
大好きだった。
自由奔放なスカーレットも、ちょい悪おやじのレッド·バトラーも。
全てが全く別世界の、別の時代の、とにかくときめく恋の物語、明日は明日の風が吹くと顔を上げてスカーレットが丘の上に立つシーンは脳内でいくらでも再現できた。
何十年も経て今年、こんなニュースが話題になった。
そして月曜日の朝にこの映画でメラニー役を演じた女優さんが104歳で亡くなったことをニュースで知った。
それでかなり前から本棚にあった「「風と共に去りぬ」のアメリカ:南部と人権問題」という青木富貴子さんの岩波新書を手に取ってみたら、25年近く前に書かれた本なのにびっくりするくらい面白かった!
アシュレーがKKKの集まりに行くシーンとか、スカーレットが黒人にレイプされそうになるシーンとか詳細をまったく覚えてない自分にもびっくりした。
著者のマーガレット·ミッチェルは、これが本になる前の原稿を読んだコロンビア大学の教授が「マミー(メイド)の猿面」とか「黒い前足」などという表現はなるべく避けた方がよいと忠告を受けても
ニグロたちが自分の手を「黒い前足」と表現するのを何度も聞いているし、また悲しげな表情の年老いてしわだらけの二グロの女は、大きな猿にしか見えないから、あのように描写したまでです。マミーを軽蔑するつもりは毛頭なかったのですが、それが誤った印象を与えるとは全く気づきませんでした(「南部の女」より)
と、返事をしている。
「まったく気づきませんでした」
子どものころの自分にブーメランのように帰ってくるフレーズだ。
マーガレット·ミッチェルは1949年に交通事故で亡くなったので、そのあとのマーティー·ルーサー·キング牧師の公民権運動の高まりも知らず、もちろん黒人の大統領がアメリカに誕生するなんて思ってもみなかったことだろう。
いま、「黒人の命も大事だ」と抗議の続くアメリカで、色々な人種の人々が盾や壁となって警察や権力の横暴と闘う姿も彼女は見る事は出来ない。
幸い私は彼女の小説に心ときめかせた自分の認識を更新しながら、今を生きている。
この本を読んでからあらためて観るなら「風と共に去りぬ」は面白い映画だと思う。
あ、英会話でこの話をしたらGone with the Windの「Wind」の発音が「ウインド」って聞こえることを注意された。
英語的に発音するなら「ごぉーんうぃずじうぃん」ぐらいで止めて「ど」は心の中でしか言わないようにしないと変に聞こえるのですね。
多分先生には「窓と共に去りぬ」ぐらいに聞こえたのだろうなぁ・・・。
英語の発音って難しいです。