リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

ジョーンの秘密

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ジョーンの秘密

夏休み最後に観たのは「ジョーンの秘密」

実話をベースにかなりドラマチックに変えてる映画ですが、ジョディ·デンチが出てる時点で期待が高まる。

そして、全然知らなかった話だったので衝撃でした。

1940年代のイギリスでケンブリッジ大学生だった女性がソ連のためにスパイをしていたことも、その後就職してイギリスで研究されていた原子力爆弾の情報をソ連に大量に流していたという事実にも驚くけど、彼女はイギリスの研究機関を定年退職し、80歳になるまで普通の市民として暮らしていたという事もにわかには信じがたい(モデルになったメリタ·ノーウッドは2005年に93歳で亡くなっている)

 

広島と長崎の原爆を経て(西側だけが核兵器を持てば力の均衡が崩れる)とソ連に情報を流す主人公。

戦後のとめどない核開発競争と、現在の核兵器をめぐる状況を知れば、葛藤はあれども「核抑止論」ありきで後悔はしていない主人公の様子に日本人としては何とも言えない気持ちになる。

 

何とも言えない気持ちのまま、パンフレットを購入したら監督自身が

ジョーンのとった行動は正しかったのかとこの映画は問いかけています。観客の皆さんがこの問題について話し合いたい、熟考したい、討論したいと感じてくださることを願っています。

と、語っていた。

 

話はすこし飛ぶけれど、カナダで反核運動をされているサーロー節子さんが先日新聞のインタビューに「カナダで核兵器の開発がされていた」と語っていて、それまで原爆を落としたのはアメリカ、核兵器の開発はアメリカとイギリスがやったと勝手に思い込んでいたのでカナダがマンハッタン計画の一翼を担っていたことを恥ずかしながら初めて知った。

 

映画の中にも主人公が戦艦に護衛されながらカナダに向かうシーンが出てくる。

 

1940年代は各国が原子爆弾という「切り札」を手に入れるためにあらゆる手段を講じていた時代なのだという事も、この映画を通じて知ることができた。

 

とにかく、物語としてみてもハラハラさせられるし、イギリスの俳優人の演技の厚みのお陰で、お話が現在と過去を行ったり来たりしても全く集中力を途切れされることなく観れるので(ジョディ·デンチのすごさだと思うけど)お時間を作ってぜひ劇場へ!