リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

映画「ブックスマート」「行き止まりの世界に生まれて」

最近映画館で観たのはある意味アメリカの若者の今を切り取った2作品。

最初に観たたのは「面白すぎる!」と私の周りの映画好き界隈をざわめかせてる「ブックスマート」

 

longride.jp

 

よく聞く高校のスクールカーストをスマートでキュートにかつ泥臭く飛び越えていく主役の二人だけじゃなく、周りの子たちも個性的で文句なしに楽しい映画です。

 

で、数日後に観に行ったのが「行き止まりの世界に生まれて」

 

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もちろん片やコメディで片やドキュメンタリーなので比べる必要もないのかもしれない。

でもタイミング的にどうしてもカリフォルニア州イリノイ州の違いを、経済格差とそれに伴う教育格差を思い知る体験だった。

 

自動車や建機産業が衰退した後イリノイ州を含む工業地帯は「ラストベルト(錆びた地帯=さびれた地域)」と呼ばれている。

そこで育ってきた若い世代がどんな風に生きているのかがこのドキュメンタリーでは当事者視点(本当にこの監督は12歳くらいから自分の仲間をフィルムに収めている)で切り取られている。

 

作品中で彼らが一番よく言う言葉がFUCKI don't know.

カメラを向けられても途方に暮れた表情で自分の事を上手く語れない彼ら(スケボーは衝撃的にうまい)は観ていて切なくなる。

「ブックスマート」の子たちが外国語を流暢に操り、ビジョンも選択肢ももって次のステージに向かっていくのと対照的だった。

 

でも、共通しているのがフェミニズム的視点と現状を超えていく希望だとも感じた。

 

「ブックスマート」が当事者の女の子が色んなロールモデルや教養でフェミニズム的感性を自然にまとっていく一方で、「行き止まりの世界に生まれて」の彼らは血の味のする体験を通じて「なぜ殴るのか」「母親が不正義に声を上げず、自分自身も殴られて育ったらどういうトラウマを抱えるのか」を、もう後がない必死さで追っている。

 

最初、二つの作品を見終わって、何とも言えない気持ちになった。

でも彼らの親世代に近い私がふんわりと切なくなって終わったら無責任すぎる。

少なくとも彼らは現状を超えていこうとしているし、後者の映画に限って言えば、目をそらさないことも大人の責任だと思う。

 

両方、同時期に観れて本当によかった2作品でした。