リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

新書「迷える英語好きたちへ」(鳥飼久美子/斎藤兆史著)

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迷える英語好きたちへ

最近、新書が好きだ

時間にすれば集中すれば1-2時間程度で読めてしまうボリュームなのに、そしてお値段もお手頃なのに、どうしてどうしてその内容の深さたるや!

 

そして昔から鳥飼久美子さんが好きだ

とにかく英語の達人と思われがちですが、この人の日本語こそ注目して欲しいといつも思う。

外国語を極めた人って結局は母国語の達人になるのかも。

試しに「四技能」という「錦の御旗」という第2章だけでもめくってみてほしい。

分かりやすい日本語のお手本みたいな文章で今、日本の教育現場に押し付けられている英語学習の「読む、書く、聴く、話す」の「四技能」や「グローバル」「コミュニケーション」という一人歩きする言葉たちの樹海の奥にガイドしてもらえます。

 

実は内容は英語教育にまつわる小学校での英語の教科化や「民間業者」が参入する大学入試制度の迷走ぶりなどなど、現状を知ってしまって暗澹たる気持ちになることも多い。

でも、とにかく現場で若者に教え、テレビやラジオで英語の楽しさを広げまくってきた二人の言語のプロが、まっとうな怒り危機感と英語への愛をもって、今の英語教育「改革」の流れは「アカン!頼むから話聞こうや!ちゃんと逃げやんと話しようや!」と語ってくれています(注・関西弁ではない)

 

もちろん教育関係者の方必読の書でもありますが、同時にこれから子どもを学校に送り出す親にとっても考えさせられる一冊です。

 

2人の対談のこの箇所が突き刺さる。

斎藤:(中略)英語教育業者がさまざまな商法を繰り出しても、結局、日本人の英語力は向上していない。英語ができるようになっているのは、昔から、同じ割合の同じタイプの人だけです。つまり、自分でコツコツ努力する人たちなんです。

 

鳥飼:本当にそう。親はよく、「自分の子供には英語で苦労させたくない」と言いますが、外国語を習得しようというときに、何も努力しないで習得できると考える人は、まともに英語に取り組んでいないということでしょう。英語に真正面から向き合って勉強した人は、それがどれだけ大変か分かっています。ただし、努力すれば少しずつ進むということも分かっている。

(109ページより)

あああああ、耳が痛い!!だからこそ本当だと思います。

 

ちなみに、この二人も話題の学術会議の会員さんです。

本来はこういう研究者が自由闊達に制度論を議論するから国力も増すのでは?

学術会議の中身どうこう言ってないで、ちゃんと省みてほしい。