以前コルシア書店の仲間たちというエッセイをよんですっかり須賀敦子さんのファンになったわたし↓
こちらもとてもしずかな気持ちで読み進められる一冊でした。
ヴェネツィアに行ってみたくなる。
そして実は大阪にも縁のあった人だったことを知る。
一心寺のあたりを歩くエッセイは何とも言えない気持ちになった。
映画や本で、たくさんの伏線を張り巡らせそれが終盤に回収されていく話はよくある。
その鮮やかさが評価される作品も多い。
でも私は個人的にはそれが鼻につくときがある。
須賀敦子さんのエッセイも、いろんな場所に飛ぶし、記憶の飛躍もたくさんある。
途中でいったん読者は宙ぶらりんな気持ちにさせられるのに、最後にはもう光と影が活字から浮かび上がってきて、いろんな記憶が美しい絵に編み上げられていく。
前に紹介した「たちどまって考える」(ヤマザキマリ著)の中でも若くして絵描きになりたいとイタリアに渡ったヤマザキさんに「この子は絵がうまければ絵描きになれると思っているよ」と可哀そうがった周りの年長者がたくさんの本や映画や芝居をすすめ、議論を吹っ掛け、その人たちの厚みにやまざきさんが感嘆するくだりがあった。
イタリア、とても興味深い国だなぁと思う。