リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

本「ある奴隷少女に起こった出来事」(ハリエット・アン・ジェイコブズ著)

f:id:tototomoton:20210401210508j:plain

ある奴隷少女に起こった出来事

びっくりした。

とにかくものすごい力のある文体で読み始めたら一日で読み終えた。

1813年米国ノースカロライナ州生まれの黒人奴隷だった著者。

白人の作者よるフィクションだと思われていたこの物語が最近の研究で実際の黒人女性による実話と判明し126年ぶりにアメリカでベストセラーになった。

 

120年以上だってからアメリカで見直され古典文学のベストセラーになった本ですが、そんな昔に書かれた話だとは到底思えない。

人間が同じ人間をモノ扱いするということがどういうことか。

これでもかというほど突き付けられる事実、特に女性であることの苦しみ、奴隷制が結局は白人社会をもむしばむその不健康さ。

正直しんどいテーマだと思った。

なのに闘い続け、諦めないハリエットにドキドキさせられっぱなしで読むのをやめられなかった。

 

手に取ってから迷われた方はぜひ翻訳された堀越ゆきさんのあとがきだけでも読んでみてほしい。

 

会社員の彼女が出張先に向かう新幹線の中でこの英語版と出会い、衝撃をうけ、今の自分の問題意識や自分の後の世代に想いを馳せ翻訳するに至ったか。

そこだけ読んでも十分ドラマチックな読み物です。

いい訳を作る人はやっぱり日本語力がすごいなと唸る文章でした。

 

とはいえやっぱりハリエットのこの文章が200年後に読み継がれることのの意味は相当大きいと思うし、これをこれほど読みやすく訳してくれた訳者の方へのレスペクトも込めて一人でも多くの人に読んでもらいたいです。

 

ほんと、軽薄な意味ではなく面白くってびっくりした。