以前に何かの書評で気になってたことを思い出して借りてきた。
「必死のパッチ」とは大阪弁でいうところの「必死のさらに上」を意味する言葉で「必死」と「死に物狂い」を足して、さらに「がむしゃら」をかけたようなものだ。
(本書5P「プロローグ」より)
ほんとにびっくりした!
あっという間に(というか途中でやめることができなくて)一気に読み終わった。
「じゃりン子ちえ」の男の子シリアス版、最近でいえばブレディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の昭和大阪バージョンと言うか…。
でも雀々さんは多分、自らの想像を絶する大変やった子ども時代を書いて、読者の皆さんも頑張れ」と言いたいわけではないと思う。
「人間って本当にどうしようもなくて、情けない。でも、あったかくて、許しあえて、繋がれる」ということを、教えてくれる一冊だと思う。
酷い両親についての恨み節ではなく、助けてくれた近所の人や、友達や、大好きだった師匠の事を綴りたくて、なによりも自分を救ってくれた落語のすごさを知ってほしくて書いた気がする。
それだけに終盤の師匠の登場シーンは、その後の展開を知ってしまっているだけに何とも言えない気持ちになる(あえて書きません)
でも、それもひっくるめて必死のパッチで生きている雀々さんの渾身の一冊。
是非この夏の一冊に絶賛お薦めします!