読みたいなと思ってメルカリで検索してポチッと購入すると、3日くらいで手元に届く。
この一年くらいはメルカリのお陰で読書量が増えています。
この本はそういう消費の仕方とは対極にあるような、でも形態は違ってもルーツは同じなような不思議な一冊です。
主人公の佐古啓介は東京の古本屋を親から引き継いだばかりの26歳。
人や本を探すために色々な場所を旅し、謎が明らかになっていくミステリーのような短編が6遍。
めちゃくちゃ怒涛のような興奮も、惚れ込むような人も登場しない。
神戸まで会いにいく男友達の世俗的な感じとかは執拗にうまく描写するのに、出てくる女の人がどの人も「男には永遠にわからない存在」的な神秘的な描かれ方をしてるようで(決してムカつく書き方ではないけれど)正直言ってこの人はエッセイの方が面白いかもと思いかけた。
でも最終回で、その予想は裏切られた。
詳しくはネタバレになるので書けないけれど(あぁこの人の書きたかったことはここに繋がるのか)と思った。
これは1978年に「野生時代」という雑誌に半年間連載された作品だったらしい。
1980年にこの作家は43歳で亡くなっている。
もっとその時代時代の息遣いを感じられる作品を長生きして書いて欲しかったなぁ。
古本屋さん巡りの旅をしてみたくなる一冊です。