かつて東ドイツに、モザンビークから多くの若者が「社会主義の兄弟国」という理由で働きに行っていたことを、この作品で始めて知った。
1989年のドイツのベルリンの壁の崩壊した時、私はまだ子どもだった。
それでもなんとなく海を渡ってくるポジティブな風があった。
日本でも歓迎と感動の報道がされていたことを思いだす。
でもそんな前向きな変化のもとでも、その地面の上では、当然のことだけど社会の大きな変化の暴風で、人生を葉っぱのように吹き飛ばされた人もいる。
この漫画はモザンビークからドイツに渡った3人の人物の物語だけれど、その人たちの中に、多くの人の証言を再構築し盛り込んでいる。
ドイツ生まれで子ども時代をウガンダとケニアで過ごした漫画家の画力とか色や構成のセンスの良さにも驚く。
この漫画が教えてくれたことは多い。
現実はいつでも私の想像力を遥かに超えていく。
だからこそ、取り込んでいく作業を忘れずにいたいと思う。