(あぁ、今日はしっかり話が通じる)と明るい気持ちで電話を切って2時間も経たずに「今日迎えに来てくれるのではないのか?」と父から電話がかかってくる。
こういうことに、少しずつ、慣れていかないといけないのだと思う。
でも「慣れる」ということが「一喜一憂しない」と同じだとしたらそれは、とても難しいことだ。
家族だからなおさら。
同じ人の詩を読んでも、こちらが響く作品はその時で変わる。
以前この詩集を読んで心に残ったのは「おちこぼれ」という詩だった記憶がある。
今回読んで心に残ったのは「道しるべ」という詩だった。
道しるべ
ーー黒田三郎氏にーー
昨日できたことが
今日はもうできない
あなたの書いた詩の二行
わたしはまだ昨日できたことが
今日も同じようにできている
けれどいつか通りすぎるのでしょう その地点を
たちどまりきっと思い出すのでしょう
あなたの静かなほほえみを
男の哀しみと いきものの過ぎゆく迅さを
だれもが通って行った道
だれもが通って行く道
だれもが自分だけは別と思いながら行く道