久しぶりに大阪・十三の第七芸術劇場に。
年明けに「ボストン市庁舎」をみて以来なので半年も空いてしまった。
前宣伝見ながらこの半年に見逃した作品たくさんあるだろうなぁとちょっと悔しくなる。
それくらい、この映画館で観て後悔したことはない。
「主戦場」も「東京クルド」もとにかくドキュメンタリーで見たい作品の大半はここでやってる印象。
で、「スープとイデオロギー」です。
もうえらいことになりました。
途中から泣けて泣けて、泣き腫らした目がメガネとマスクでは全く隠しきれず、
すれ違う人がギョッとするのがわかるほどでした。
それ程自分と年齢の違わない、産まれた場所もそんなに違わない、ヤン ヨンヒ監督の背負ってきた、背負いながら記録してきたものの蓄積。
監督はそれを発表してきたために北朝鮮と言う国に兄弟や親せき、父親のお墓まであるのに、その国に入国を許されない。
自分の作品のある箇所が、かの国の家族に影響を与えるかもしれない。
それでも作品を撮り続けるという覚悟にせめてたくさんの人で劇場が満たされて欲しいと思う。
あと、急激に認知症が進む自分の父のことをものすごく観ながら考えた。
監督がお母さんの妄想を否定せず、撮り続けたこの作品は、どこか自分がこれから経験するであろう介護を予習させてもらっているような気持ちになった。
稀有で壮絶な家族であり、同じ時代に生きていると思えない背負うものの重さがある。
それでもなお、同時代に生きるオンナとして自分の映画だと思わされる。
国境を分けるイデオロギーという壮大なテーマと、スープという日常をこんなにもくっきりと目の前に展開されることは生まれて初めてだった。
多くの人に劇場で観てほしいです。