柚木麻子さんは女たちの群像を書かせたら絶対面白い作品を生み出す人だ。
この前紹介した柚木さんの「らんたん」が、100年前の女たちのシスターフッドなら、こっちは現代版。
その上、ものすごい捻りが効いている。
気をつけないとなという戒めも、
そうだよなぁという共感も、
自分はとらわれているという事実にも気づかせてくれる作品でした。
人間は若者とか老人とか男とか女とか主婦とか会社員とかの属性では計り知れない。
周りや属性が押し付けてくるマジックに埋もれるわけにはいかないのだと改めて感じた。
主人公の正子さんが全然「正しい人」ではないのがすごく良かった。
自分をアップデイトしながら、必死で生きようとするだけで「善い人」でも「賢い人」でもないことに救われた。
その人の身に起こることと、その人が「善い人」であることは実はあまり関係はない。
不公平も不条理もたくさん存在するからこそ、こういうたくましい女たちを作者は愛おしみながら書いているのだろうなぁ。
主人公の正子が好きな映画が「風と共に去りぬ」で、それでマジカルグランマである自分を認識するくだりは圧巻でした。
風と共に去りぬについては以前紹介したこちらもすごくお勧めです↓