昨日「大阪の日本画」展を中之島美術館まで見に行き興奮が冷めやらぬうちに「細雪(ささめゆき)」を。
戦前、大阪が大大阪と呼ばれた時代の雰囲気を感じる作品です。
4姉妹のはんなりした関西弁と性格の緻密さにあっという間に上巻を読み終わる。
若い頃、代表作を読んで「そんな好きちゃうな」と思ってから読まずにきた谷崎潤一郎に出逢い直している気がする。
冒頭で姉妹でレオ・シロタの演奏会に出かけるシーンがあって驚く。
日本国憲法に男女同権を書き込んだベアテ・シロタ・ゴードンさんのお父さんやないかい!!
「1946年のクリスマス」と言う本の中でベアテさんは戦前に音楽家の父と住んでいた日本であまりに女の人に権利がなく、辛い思いをしている人を間近にみていたために、戦後、必死で男女平等の条文を起草したと語っていた。
細雪に登場する4姉妹は没落したとはいえお金持ちだしそこまで酷い目には遭わない(いまのところ)けど、結婚も住む場所も勝手に決められない現実はある。
彼女たちは相当恵まれていたとしても本家とか分家とか年齢順とか行き遅れとか未年生まれとか、今の基準から考えたらもはや意味不明なことに縛られて翻弄されている人生でもある。
谷崎潤一郎はこの作品を戦前に数話発表したところで陸軍省報道部の干渉を受け、発表を中止している。
戦前戦中は自費出版を試みたり、疎開先でもコツコツと描き続け、戦後に完成させて発表している。
なんやらそこまでして描き続けたこの姉妹の3女(雪子)の婚活ストーリー(言ってしまえばそういうこと)を最後まで見届けたいと思った。