リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

剛心 木内昇著

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なかなかの分厚さにちょっと読み始めるのに躊躇しましたが読み始めたらあっという間でした。

 

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なんというか、明治版プロジェクトX 仕事の流儀とでもいうような、圧巻の群像劇!

スケールが半端ない歴史小説でした。

 

その上、面白かったのはこの前からハマっている「日に流れて橋に行く」という漫画にこの物語の主人公が設計した日本橋が出てくる!!

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和洋折衷をこの建築家はけなされたりもしてますが設計する側の思いを知ってしまうと「ええやないの!!!」と妻木頼黄(つまきよりたか)に肩入れし、これまで数々の建築を「きゃー好き!!」と思って来たくせに辰野金吾に若干距離を置きそうになる単純な私。

 

帯に「渾身長編」とありますがまさに!!!その言葉通りの一冊です。

文庫本も出ているのでご興味のある方はぜひ!

 

あ、長くなりますが「日に流れて橋に行く」は本当に面白い。

この前瀬戸内晴美著「田村俊子」を読み終わったところだったので、絶対この人がモデルだ!って登場人物が8巻では大活躍し初めてちょっと一人で興奮してしまった。

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7巻の後書きで「実在の三人の女性をモデルにしている」と日高ショーコさんも書かれているので、(あと2人は誰だろう?)と想像しながら読み進めたいと思います。

 

それにしても明治という時代は近くて遠くて面白い!

映画「ベルナデット」最強のファーストレディ

別の映画の話をする。

アメリカにいた頃私が好きなメリル・ストリープマーガレット・サッチャー役で映画が公開された。

当時、語学学校で一緒だった同世代のイタリア人が観たと言うので「どうだった?」と聞いたら「彼女が役者として演じてみたいと思う気持ちはわかるけど、あの人が演じたらどうしたってサッチャーが美化される。役者である前に人としてのモラルの問題だと思う」と複雑な顔で答えてくれた。

 

以来12年、まだその映画は観ていない。

 

で、この映画。

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フランスの保守政治家ジャック・シラク元大統領夫人の自伝的コメディ。

マダムシラクを演じるのはフランスの至宝とも呼ばれるカトリーヌ・ドヌーブ

 

正直悩んだ。

相撲好きで日本びいきなシラク大統領でしたが、はっきり言って、、、ねぇ。

 

そのファーストレディを、カトリーヌ・ドヌーブが素敵に演じる映画を今作る意味とは?

と、思ったけど水曜日は映画の日なので1300円だし恐る恐る観に行ってきました。

 

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完全に杞憂でした。

 

フランス映画として申し分ない美しい映像、90年代以降のフランスの政治がマダムシラクの周辺を切り取ることでこんなにも鮮やかに再現される緻密な脚本、そしてカトリーヌ・ドヌーブと共演することで多分キャストはみんな良い意味でめちゃくちゃ自分の限界に挑戦したんだろうなと思わせる俳優陣の熱演。

 

ネタバレになるから詳しくは書きませんがパンフレットの監督のインタビューも面白かった。

 

2002年のフランスで極右政党「国民戦線」が躍進することをマダムシラクが予想するくだりはこの映画の山場に思えた。

監督自身も「2002年は私にとっては初めての選挙で、ルペンが決選投票に進むのをとても心配したのを覚えています」と語っている。

 

今年、そのルペンの娘が率いる「国民戦線」が欧州議会とフランス下院で大躍進を遂げたフランス。

 

だから今、この映画なのかと辻褄があった。

 

だから、カトリーヌ・ドヌーブは引き受けたのかと納得がいった。

 

こんなに面白くて、エンパワーされて、フランス政治に詳しくなれる映画はなかなか無い。

 

 

本屋さんの本と「明治・父・アメリカ」星新一著

ふと思い立って家の本棚から「本屋さん」の本を抜いたらこんなにあった。

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どうも私は本も好きだけど、本屋さんも好きらしい。

 

で、今回ご紹介するのはこちら↓

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SF作家の星新一さんがお父さんの半生を書いた本。

実はSFに興味がないこともありこの人の本を初めて読んだ。

 

めちゃくちゃ面白かった。

 

読みやすい文章を書く人というのは、けっきょく文章がうまい人なんだなと思う。

 

そして、そういう人が、ことさら思い入れのある身内のことを書くのだから、あっという間に読めてしまう。

なんと言ってもこのお父さんの生き方が面白すぎた。

 

で、本屋さんの話。

 

明治6年(1873年生)生まれのお父さんは20歳の時にアメリカに渡って、働きながら勉強を続け、名門コロンビア大学まで卒業してしまう。

 

とはいえ、そもそもアメリカに渡る旅費をどう稼いだのか?

そこで、本屋さんが出て来る。

いろんなところを旅しながら古本や新聞を売って人脈やお金を作り、やりたい事は成し遂げる星父さんの勢いにワクワクする。

「明治の人は偉かった」ってよく聞くけど、最近この時代の人の話を読むにつけても私の中で「明治の人はヤバい程にぶっ飛んでた」のが正しいのではないか?と思う。

 

もちろん昔の話だし、誇張もあるかもだし、ぶっ飛んでる人のエピソードが残ってるからなんだけど。

 

歴史をこう言う点の視点で繋ぐ読書の面白さに最近はまっている。

機会があればぜひ!

 

 

 

絵本「ロッタちゃんとじてんしゃ」リンドグレーン作

先日ビブリオバトルと言うものに初めて参戦してきました!

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バスクチーズケーキが美味しいカフェに時間になると本好きの老若男女が13人集まってきた。

 

テーマ「かわいい」で持ち寄った推し本を希望者9人が各自5分間プレゼンしてから質疑応答。

 

全員で最後に投票してチャンプ本を決めるイベントです。

テーマにうってつけの絵本を見つけたので鼻息荒くプレゼンしたら、初参加のご祝儀的な意味もあってか同点でチャンプ本に選んでもらったのがこちら↓

 

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1907年スウェーデン生まれのリンドグレーンの激動の人生と、挿絵を描いた1930年エストニア生まれのヴィークランドとの運命的な出会い。

 

ヴィーグランドは14歳の時にソビエト占領下のエストニアからスウェーデンにやってきた難民でした。彼女が23歳の時にイラストレーターの仕事に応募し、リンドクレーンと出会ったからこそ、この稀有な絵本が誕生したのです。

 

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さらに!日本にトーベヤンソンムーミンシリーズや、ほとんどすべてのリンドグレーン作品を紹介したのが翻訳者の山室静さん。

 

お恥ずかしながらわたしはお名前を見て勝手に女性だと思い込み(作、絵、訳の3人の女たちのシスターフッドが織りなす胸アツ展開に違いない!!!)と盛り上がったのですが、山室静さんは明治生まれのおじいちゃんでした、、、。

 

しかし、この山室静さんがまたかなり面白い。戦前に岩波書店で働きながら夜学で学び大学を卒業しますが労働争議で解雇、その後も外資系の商社に就職するも時節柄その会社が潰れて失業、、、。

まぁ、想像するに戦前は何かと大変だったんでしょうが、戦後はわたしが子どもの頃にお世話になった絵本はかなりこの方が日本に紹介しています。

 

リンドグレーンとこの方はお亡くなりになっていますが、ヴィーグランドさんは94歳でまだご存命らしいです!

 

なんと自分の原画を祖国のエストニアに寄贈した事で、エストニアには彼女のテーマパークのようなものまであるらしい。

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本の中身より生み出した人たちの事をネット検索で直前に調べた付け焼き刃の知識で語るという(ええんかそれで?)と言うプレゼンでしたが、わたしの興奮だけは伝わったのか選んでいただきました!

 

とは言え他の皆さんの本も甲乙つけ難いマニアックなものばかり!

 

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あー、楽しかった!!!

 

ビブリオバトルは今や結構なブームで来年の3月には奈良県生駒市で全国大会も開かれるそうです。

 

世の中は知らない事に満ちていて、まだまだワクワクさせてもらえるなと思った夜でした。

 

 

漫画「日本の月はまるく見える」2巻

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以前にもご紹介した「日本の月はまるく見える」の2巻が発売されていました。

BL漫画家への一歩を踏み出し、とうとう日本で暮らし始めた主人公。

続きが楽しみです。

 

結婚式にはカジュアルな服装で参列してもいいとか、贈り物は重い方が感謝の気持ちが伝えられるとか、へーってなる中国トリビアも面白いです。

 

まぁ、でもどの国でも家族や友達との関係に悩んだり勇気を出したり遠慮したりするのはおんなじなんだよなぁと思わせてくれる。

 

このところ辛い出来事も多くて近くて遠いお隣の国ですが、やっぱりそこに暮らす人の大半は自分達とそう変わらない日常を生きているということを忘れたくない。

 

3巻が出るのは来年の春かぁ。待ちきれない。

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植本祭で虎つば展示と古本市

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今日はご近所で植本祭というイベントに参加してきました。

 

推し活展示と言うことでどハマりした朝ドラ「虎に翼」関連の書籍と、名古屋までロケ地巡礼ツアーを決行して作ったフォトブックも販売してみた。

 

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今回の朝ドラを好きだった人は相当多いみたいで、みなさん吸い寄せられるように近づいてきて、素人が作ったフォトブックを買ってくださる。

 

ついでに感想を語り合いプチオフ会みたいになって楽しい。

 

他にもたまたまお知り合い同士お隣で出店できて店番を頼み合えたり、ご近所さんや久しぶりの友達が会いにきてくれたり、家で眠ってた私の推し本が誰かの手に渡って喜んでもらえて、今回も有意義なイベントでした。

 

今回の反省点は欲張って本を持って行きすぎて、それを台車で運ぶ私があまりに危なっかしかったのか、行く時はウォーキング中の親切な方が一緒に搬入してくれ、帰りはたまたま通りかかった同じマンションの方が家まで一緒に運んでくれました。

 

私は計画性がなさすぎて、こういう風に人に助けられてばかりです。

 

明日から私も人に優しく生きて行きたいと思うと同時にもう少し先を見通せる人になりたい。

 

なれるだろうか、、、いや、頑張る。

 

 

 

リーチ先生(原田マハ著)

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なかなか分厚い文庫本で、読み始めるまで躊躇しましたがさすが原田マハ

 

読み始めたら止まらなくて一気に読了しました。

 

バーナード・リーチと彼の周りの100年前のいわゆる白樺派の若者たち、のちに民芸運動の立役者となっていく彼らの熱い青春がとにかく面白い!

 

唯一実在しない主人公の親子がまるでその時代の証人のようでもあり、私たち読者の目でもあるような不思議な感覚でした。

 

あぁ、イギリス、行ってみたいなぁ。

 

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民藝とか骨董とか大原美術館とか大山崎山荘がお好きな方はたまらない一冊です。