リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

本「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(2019)

電車の中で読み始めて、読み続けたいから降りるのやめようかなと思うほど面白かった。

 

 著者のブレイディみかこさんの文章は以前にも読んだことがあった。

 

1人でも加入できる労働組合の書記の人と、歌舞伎町のキャバクラで働いてる女の子の賃金未払いの団体交渉に同行してルポを書いていたと思う。

すごく冷静に、人や状況をみる人だという印象があった。

 

そうかぁ、この人が自分の息子を観察して、自分自身の生活を書くとこんな本ができてしまうのか!!

イギリスで保育士をしながら子育てしている彼女の、人を見るときの距離感と熱量に引き込まれた。

 

なんといっても息子との会話がいい。

 

「でも、多様性っていいことなんでしょう?学校でそう教わったけど?」

「うん」

「じゃあどうして多様性があるとややこしくなるの?」

「多様性ってやつは物事をややこしくするし、喧嘩や衝突が絶えないし、そりゃない方が楽よ」

「楽じゃないものが、どうしていいの?」

「楽ばっかりしてると、無知になるから」と、私が答えると、「また無知の問題か」と息子が言った。(59ページから引用)

 

読みながら、彼と一緒に自分も問い、考え、また読み続けてしまう。

イギリスの保育や教育現場のこともリアルに書いてあるし、今のイギリスを知るのにもうってつけの本。

 

何より

(そうそう子供の傍で生活するってこんなに面白かったよなぁ)

と思い出させてくれる一冊です。

 

イギリスと日本の子育ては色々違うけど、子どもはいつだって大人の背筋を伸ばしてくれる。

 

さんざん手垢のついた言葉かもしれないが、未来は彼らの手の中にある。世の中が退行しているとか、世界がひどい方向に向かっているとか言うのは、たぶん彼らを見くびりすぎている。(176ページから引用)

 

 

これまで以上に多様性の渦に飛び込んでいく子どもたちに、少しでもマシな場所を残したいと思う投票日翌日。

この本のことを書いておこうと思った。 

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