リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

日本に住んでる世界のひと(金井真紀 文・絵)

f:id:tototomoton:20240403223616j:image

どの人のお話も人生もめちゃくちゃ面白い。

はっきり言って初めは金井さんの絵が素敵でジャケ買いした一冊でした。

 

でも読み始めてみたら文章がまたなんとも味わいがある。

 

あぁ人間って本当にすごいなぁ、優しいなぁ、捨てたもんじゃないなぁと思わせてくれる。

 

川崎の在日1世のハルモニ崔命蘭さんの話なんて、読んでいるうちに自分が彼女から直に聞いて追体験しているような気持ちになった。

f:id:tototomoton:20240403230511j:image

 

紹介されている人の出身地も北マケドニア、バルバドス、アルメニア、、、地図で指すこともできない私ですが、この本を読むと少し旅した気持ちになる。

 

私は一年半だけアメリカで「外国人」として暮らしたことがある。

異国で暮らすということは、ゲンナリするようなことも、救われた気持ちになることもその振り幅が大きい。

 

渡米してすぐに日本語しか話せない4歳の子どもの預け先が見つからず、「英語か中国語が話せないと本人が辛いですよ」と何軒も断られたことがあった。

その後で奇跡的に巡り合ったプリスクールの先生が「言葉は関係ない。子どもはあっという間に覚えるから。トイレに行きたい時だけ入り口のネックレスを首にかけるようにお子さんに伝えてね。」と言われた時の嬉しさは今でも鮮明に思い出せる。

 

通い始めて慣れてきたころ「あなたの娘はマグネットよ!みんなが彼女に惹きつけられてる。

あなたたち家族からも、ここの子どもたちは多くを学ぶの。それは私たちにとってもすごくラッキーなことです」

と言ってくれた時のホッとした気持ちは忘れない。

とは言え、私のこんな甘い話が吹っ飛ぶような体験もたくさんこの本では紹介されている。

今も昔も壮絶な理由で日本にやってきた人がいる。

コンゴ民主共和国ミャンマー東ティモールから来た人たちの章を読んで彼らに日本政府がやっていることの理不尽さに、クソッタレと思う。

 

そして、この本のタイトルが「日本に住んでる外国人」ではなく「世界のひと」なことに今、気がついた。

 

「外国人」も「異国」もない。

本当はただ、ひとりひとりが「世界のひと」なのだ。