リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

あふれでたのはやさしさだった(寮 美千子著)

f:id:tototomoton:20231118085825j:image

姉から送ってもらって本棚にずっとあったこの本。

 

奈良少年刑務所星野リゾートに買われて監獄ホテルとして再生するというニュースに触れて本棚から出して来てみた。

 

本当にたくさんの人に読んでほしい。

 

言葉が力を持つのは、心の近いところからやっと絞り出した言葉が人に伝わって、受け止めてもらった時なんだと思う。

 

「空が青いから白をえらんだのです」

 

すごい詩はすごい詩人が生み出すのではなく、人がその人生で感じて来たことを言葉にした時に生まれるのだなぁ。

 

「自立の反対は依存ではなく孤独」

 

その通りだと思う。

 

奈良少年刑務所は明治政府の司法省技官だった山下啓次郎が西欧諸国で30数箇所の刑務所を視察して、「犯罪者といえども人非人として手荒く扱うのではなく、人として尊ぶべきである」と、形にした近代建築らしい。

 

現代においても冷暖房も完備していない刑務所だったから、この本の中でも夏の朝の風が気持ちいいと言う詩を書いていた人がいた。

 

近代建築の古い建物では冬の寒さも相当だっただろう。

 

彼らが暑さに疲弊し、寒さに震えた場所は美しくリノベーションされて数年後には高級ホテルに生まれ変わる。

 

誠実に受刑者に向き合う教官たちのようなソフト面での良いところは、新しい施設でも繋がっていってほしい。

 

そしてこれだけ暑くなった日本でどんな場所にもエアコンはいる。

 

一世紀以上昔の明治の技官の学びがまだ生かされてないのは情けなさすがないか?