お正月にお義母さんが孫だけじゃなく私にまで本屋さんで本を買ってくれました。
朝井まかてさんは「恋歌」と「すかたん」、「ぬけまいる」を前に読んだことがあってどれも面白かったので気楽に選んだ一冊でしたが、この作品は思った以上にテーマが壮大でした。
明治天皇が若かりし頃に京都から江戸に入るところから始まるストーリー。
この著者は徹底して時代背景や実在の人物とその相関関係を調べる人だと思います。
天皇制が近代国家として確立されていく様子と、天皇という存在が当時の日本人、特に明治の人間にとってどういうものだったのかがフィクションの記者の目を通して(これは同時に著者の目だなぁと感じた)書き上げられていて圧巻でした。
明治神宮ができたときのエピソードと言ってしまえばそれだけですが、読まなければ知らなかったこと(例えば明治までは元号は天災や陰陽で決められていたので1人の天皇の即位中にも数回変わったりしてたことも初めて知った!)も、沢山あってこれまで日本史の知識が皆無に近い私も十分楽しめるエンタメでした。
個人的には天皇にも天皇制にもなんの思い入れもない私ですが、1人の人として明治天皇を想像するとこう書き上げられるのかと、素直に驚嘆です。
明治と大正の境目の1912年という年を、これまでより身近に感じることができそうな一冊でした。