長崎の出島で,そのあまりの可愛さに興奮冷めやらぬ日々でしたが、まちライブラリーでたまたま手に取った本がまさにその出島が舞台!
出島って学生時代に歴史の教科書で絵を見た記憶があるけど、実際に行ってみるとその小ささにびっくりした。
10分くらいで一周できてしまいそうな狭さだった。
そこに閉じ込められ、街に出ることも許されなかったオランダ人たちを思うとちょっと気の毒になったほど。
400年前、この島で多くの植物を研究し、本国に持ち帰ったシーボルト。
この小説はその彼に仕えた御庭番の熊吉の視点で語られている。
実は今回、出島の展示で当時のオランダ商人たちは家族の同行を許されず、出島に入ることを許された女人は遊女だけだったことを知った。
遊女たちの使った綺麗なガラス細工のかんざしなども残っていた。
実際に出島にはそこだけ質素で狭い女中部屋もあった。
その部屋を見た時、何とも言えない気持ちになった。
朝井まかてさんはそういう遊女からシーボルトの奥方になり、娘を設けた女性オタクサ(「お滝さん」がなまった)と呼ばれた滝や、その娘で日本人初の女性医師になった楠本イネの事もとても詳細に調べて登場させている。
実際の史実を織り込みつつもそこは歴史小説の名手・朝井まかてだけあって、ハラハラドキドキいろんな感情を呼び起こす展開にあっと言う間に読み終わりました。
はぁ、もう一回行きたいな、長崎。