2020年あけましておめでとうございます。
今年最初の映画館詣ではやはり見逃せないこの映画。
ケン・ローチ監督が是枝監督と語り合うNHKのドキュメンタリー見てから絶対に観ようと思っていた作品です。
ほんと、すごい。
是非一人でも多くの人に劇場で観てほしい。
現代の「フランチャイズ」や「個人事業主」という名の下で横行するめちゃくちゃな働かせ方。
それがどれだけ家族を壊し、人間を壊すかを告発する映画ではあるのだけれど、この監督のすごいところはやっぱりシーンの拾い方だと思う。
切り取る描写がものすごく「日常」で「普遍的」だからこそ、共感が自然と生まれる。
例えば、冒頭で登場した息子がキッチンでシリアルを捜しすシーン。
キッチンでごそごそと戸棚を探しながら「シリアルはどこ?」と言う息子に母親がリビングから振り返らずに
It's in front of your eyes.
目の前にあるでしょ
と返事をする。
(あぁ、こういう事、よくあるよなぁ)と最初から掴まれた。
ちょっとお調子者の父親や、お人よしの母親。
不器用にボタンを掛け違えてぎくしゃくする家族。
時々ご褒美みたいに訪れる、みんなの波長が合う楽しい夕食。
だからこそそれを破壊するものへの怒りや口惜しさが募る。
ケン·ローチ監督は現在83歳だとか。
この年齢になっても、怒りが持続し、それを表現できる感性が鈍らないどころか、作品ごとに研ぎ澄まされていくことに、ただただ脱帽です。
皆さん、劇場で見逃したら後悔しますよ。
あ、字幕は石田泰子さん。
私にとっては聞きとりにくいアクセントの英語でしたが、どれくらい正確なスクリプトがあったのか気になるところです。