とても完成度の高い、作品なのでみんな見て!
青春映画って言うのは誰かが誰かに出会ってすごく変化するその美しさを描くものだと思う。
この人生の中の「多感」な時期って、その渦中にいるときは全然気づかないけど、頭の中は嵐のように混乱しつつも自分というものの核ができていく、青い春なんですよね。(青春って言葉を最初に考えた人は誰なんだろう。すごい表現力だと思う)
そんなことを思い出させてくれる映画です。
ネットフリックスの回し者のようになっていますが、契約してでも観た方がいい。
そして!この字幕を作られた方が土佐美佳さん。
この字幕はほんっとに大変だっただろうなと思う。
観てるときは面白すぎてそこまで意識しなかったけど、あとで考えれば考えるほど字幕つくる人を苦しめる作品だと思う。
私が想像しただけでも以下の作業が浮かんで気が遠くなる。
1)色んな哲学者とかの格言が盛り込まれる冒頭→出典を調べて確認し、映画に合うような日本語に置き換える必要がある
2)手紙の中で既存の作家や映画、音楽など細かいネタが多い→これもまた出典を調べて(何ならその映画も全部見て)作品の流れの中でなぜそれが使われているのかを掴む必要がある
3)主人公と父親は中国からの移民なので会話が中国語→中国語ができない場合は、やり取りを日本語にした後で誰か中国語の分かる人に確認する作業が加わる
4)若い子の出てくる映画はとにかく会話も展開もテンポが速い→字幕ではこれを捨てるところは捨ててエッセンスだけを短く表現する力が問われる
5)スマホでの文字でのやり取りの箇所は「ポンっ」という音とともに表示されるけど、短時間で長文の英文を短い日本文にする力が問われる
とはいえ、これだけ素敵な作品だと字幕も作り甲斐があっただろうなぁ。
そして、これだけじわじわと世界中で反響が大きいと、苦しんだ分、ヨロコビもひとしおだろうなぁ。
アメリカの原題にはないのに、日本語タイトルにつけられている「面白いのはこれから」というサブタイトルは土岐さんのオリジナルなのかなぁなどと考えている。
★見終わってからこの町山さんの映画評を読むと「そういう話だったのか!」と細かいネタを拾えるので読んでみてください。
でもネタバレしすぎてるので観る前に読むのは薦めません!