2011年に私が滞在していたアメリカのバークレーはノーベル賞受賞者がゴロゴロいる、全米屈指のインテリの顔を持つ(他の顔もたくさんあるのでこの書き方にします)ところでした。
勝手な予想ですが読書家もはるかに多かったと思う。
娘のプリスクールの保護者の何人もから「ムラカミの新刊はもう読んだの?」とか「私はもう読んだわ」とか言われて(すごいな!ムラカミ!)と衝撃を受けつつも、「まぁ…「ノルウェイの森」は読んだけど。」とか「学生の時は何冊か読んだけどねぇ」とか答えつつ(日本の作家と言えば村上春樹ってわけではないぞ)とちょっとひねくれたのも事実(そして「1Q84」はまだ読んでおりません)
でも、たまたま娘が庭の塀に空いてる穴から隣の家に不法侵入(?)して知り合った女性が結構熱心なムラカミ読者だったこともあり勧められて村上春樹を読み直したらやっぱり彼にしか書けないオリジナリティがあり面白かった(「象の消滅」(英題 The Elephant Vanishes)だったと思う)
そして、アメリカ人から村上春樹の魅力をレクチャーされるという不思議な経験は決して偶然ではなかったのだと、この「職業としての小説家」を読んで知った。
村上氏が極めて意識的にアメリカ市場に参入し、「ニューヨーカー」の常連作家になるまでの道のりとか、「ノルウェイの森」が異常なヒットを飛ばしたことで日本の文学界から理不尽に思えるほどの攻撃を受けたこと、自由でとらわれない状態で物語を紡ぐために彼が行ってきた試行錯誤の数々(その中には渡米も含まれる)には正直彼の文章のイメージとは違う地に足のついた感じがすごかった。
どの分野でも費やした時間が基礎体力になるのだなぁというありきたりなことも、彼の一級品の文章で書かれると説得力が違います。
学校についてのエッセイとか共感部分が多かったのでお勧めです。
ここまで書いて気が付いたけど、結構私ブログで村上春樹を取り上げてます。
もはや私も結構なムラカミファン(笑)って、コアなファンの方に叱られますね。
特にこの「猫を棄てる」はおススメです↓