リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

本「金の角持つ子どもたち」藤岡陽子著

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藤岡陽子さんは前に「手のひらの音符」を、読んで面白かった記憶があったので借りてみた。

 

「中学受験」ということについて、自分も、いま育てている子どもの選択肢にも入れたことがなく、どちらかといえば作中に出てくる「小学六年生の夏休みは一度だけなのよ」と控えめに言ってしまう主人公の担任の先生に近いスタンスだ。

 

それはきっと「勉強は学校でやったらええ、教育産業に金は払わん」という、やや偏った親の教育方針のもと、進学予備校や塾というものへの体験がないことも一因だし、それなりに育ってきた自身の実感から感じてきたことでもある。

 

そういう意味で、この本は読む人の育ちや、感覚で全然違って読める一冊だと思う。

 

スポーツに打ち込むように必死で勉強する子どもたちがいて、その子たちを真摯に支えようとする塾の先生がいて、献身的に支える家族が登場する。

 

私の知らなかった「中学受験」の素敵な側面を、しっかり取材されたんだろうなぁと思う。

 

私はあまり知りもせずに「中学受験」に違和感をほんのり持ってたのかもしれないと、読みながら思ったのも事実。

 

それでも、やっぱり過度な競争にさらされる子どもたち、夜までサラリーマンのように学ぶ子どもたちを私は肯定できない気持ちはある。

 

そのストレスが公教育の場に持ち込まれる歪みに実感もある。

 

今の現状で必死に努力する人を、学力という武器を身につけたいと思うことを否定するつもりは毛頭ないけれど、なんだか裏表紙にある「感動の長編小説」と、このストーリーを受け止めてしまって良いのかを読み終わってからずっと考えている。