昨日のムビリオバトルはテーマ青春でした。
残念ながら今回は名作「今を生きる」に負けましたが、せっかく原稿書いたので貼り付けます。今ならU-Nextなら課金なしで観れます!
今回のムビリオバトルは別の方が同じ山下敦弘監督の「美園ユニバース」という作品で参戦しておりました。
星の数ほどある映画の中で同じ監督の作品が紹介される奇跡!!!
もしかして山下監督は「青春」に強いのか?
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今回のテーマは「青春」ということで、私は「天然コケッコー」という映画を紹介したいと思います。
これは2007年、すでに15年も前の映画で原作は1994年から2000年にかけて連載されたくらもちふさこさんの漫画です。
この原作の時代は私の年齢的にドンピシャなこともありとにかく田舎の子だった私には(分かる!)シーンが盛りだくさん。
まだ携帯もなくて、アマゾンで何でも手に入らなくて、ファストファションもないから田舎と都会の垣根が大きかった時代。そよがテレビ見の画面みながら「他になんかやっとらんの?」とつぶやくシーンや、「いってかえります」と方言がそのまま使われるシーン、祭りが最大の娯楽だったり、ちょっと遠い大きなモールに買い物に行くことが一大事だった頃。
よくも東京渋谷に生まれたくらもちふさこさんがこんな田舎の子の気持ちを描写できるもんだなぁと驚きます(島根県はご両親のふるさとだったそうです)
とはいえこの映画の舞台は田舎のスケールがすごい。
バスは一日に数本、小学校と中学校併せて6人しかおらず、村に子どもが生まれなければ廃校になってしまうかもしれない地域です。
そんな学校に東京からイケメン男子・大沢君がやってくる冒頭から始まります(この大沢君を演じるのが当時は無名の新人・岡田将生。後に監督自身「彼がこんなに有名になるとは。」と語っています)
主人公の美少女そよ役は、夏帆さんが当時14歳の透明感をいかんなく発揮しています。
そのほかのちびっ子たちのあり得ないほどの可愛さと、脇を固めるベテラン俳優(そよのお父さんは佐藤浩市、お母さんは夏川結衣って美しすぎる田舎の夫婦!)そして圧倒的な懐かしい自然の四季折々の風景が相まって昨今の何でも漫画を映画化すれば安全圏的な日本映画の風潮にはゲンナリしている私も点が甘くなりました。
しかも主題歌はくるりが歌い、完全にエモい青春映画の要素を全て兼ね備えているうえに、誰もが「青春映画」といえば思い出すあの映画のオマージュか?というシーンも。
田舎だからってなにも起こらないわけではなく、こどもたちを中心にいろんな人間模様が描かれるのもひとくせあるくらもちふさこの原作だからこそ。
ここではないどこか(都会)へのあこがれ、地元への愛着、やらかす自分への自己嫌悪、そのくせ肥大化した自意識と誰もが思い出す青春期の気持ちを表現した「青春」というテーマ真ん中ストライクな作品です。
最後にこの漫画は6年続いただけあってふたりが高校に進学してからのエピソードもあります。
最初は都会の格好いい男の子にあこがれて、かいがいしく学ランのボタンを付けてあげていたそよちゃんが、どんな風になっていくのか。変わる部分と変わらない部分が楽しめるので良かったら原作漫画も読んでみてください。
わき役の皆さんのエピソードが映画ではそこまで掘り下げられていないので映画と漫画の両方でより楽しめると思います。