リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

<敵>と呼ばれても(ジョージ・タケイ著)

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やっと大統領選挙の結果が出ましたね。

連日投票もできない他国の大統領選挙の速報が報道されることに、ちょっと食傷気味の人もいたかと思う(日本だって国会が始まってるのに)。

 

それでも当選が決まって、アメリカに住む多くの友人たちの喜びの投稿をSNSで見るとじんわりと嬉しさがこみあげてくる。

 

私がカリフォルニアに住んでいた頃に通っていた移民向けの学校(アダルトスクール)は本当に多国籍だった。

ある日は数えてみたら20か国以上の国籍の老若男女が一緒のクラスで英語を学んでいた。

私みたいに期間限定で学びに来てるのが申し訳ないくらい皆アメリカに根を張ろうと必死だった。

あるコート・ジボワール出身の男性は「途上国支援で来ていた女性と恋に落ちて彼女の住むカリフォルニアに来たんだけど、仕事を見つけるにも英語ができないとね」と放課後におしゃべりしていた時に教えてくれた。

 

それぞれアメリカにやってきた理由や時期は違ってもやっぱり民主主義や多様性の尊重というあの頃のアメリカの空気が、外国からやってきた私たちを惹きつけていた。

震災直後に渡米した私にバスの運転手さんが「日本から来たの?フクシマは大丈夫かい?」と聞いてくれるほど、自国のことのみに専念する国でもなかった。

 

あれから、トランプ政権が誕生し、変わってしまったこともたくさんある。

「息ができない」という気持ちで暮らしてきた友人たちが自らの声を取り戻した今日を心から喜びたい。

 

かつて強制収容所に送られた日系アメリカ人の歴史を伝える漫画をたまたま昨日読んだ。

 

スタートレックヒカル・スールー役で有名なジョージ・タケイさんのお父さんは日本生まれのアメリカ移民で、やっと軌道にのった商売と家を奪われて強制収容所に家族とともに送られた人。

 

戦後、民主党の大統領選挙の応援にジョージ・タケイさんを「アメリカの民主主義は参加型民主主義なんだよ。政治プロセスに積極的にかかわる人民に依存しているんだ」と連れていくエピソードが心に残った。

その選挙事務所にある日、エレノア・ルーズベルトが激励に訪れる。

ジョージ・タケイ氏は彼女と言葉を交わし感激する。

その少し前に彼の父親は「ちょっと調子が悪い」と事務所を後にしている。

 

後でタケイ氏は父親は本当は調子が悪かったのではなく自分たちを強制収容所に送った男の妻と握手したくなかったのだと気付く。

 

「人は過ちを犯す」それでも「民主主義と言う制度を信じる」という事を人生をかけて教えてくれた父親についてタケイ氏が語った漫画なのだと思う。

 

そして、きっと今回の大統領選挙も本当はそういう名もないふつうの人たちの物語なのだ。

 

少し日本語訳が直訳過ぎて集中力が削がれますが、読んでみてほしい大作です。

原文の漫画も読みたいなぁ。

 

www.goodreads.com