この本は満7歳でアメリカに派遣された津田梅子が10年後に日本に帰国するところから始まる。
後書きで鶴見俊輔は
「津田梅子のように大きな仕事を成し遂げた人については、その人が初めから偉かったように書くのが、日本の伝記作家の礼儀である」と書いている。
確かに子どもの頃におじいちゃんからもらった津田梅子の伝記の印象はそんな感じだった。
スゴい人だけど私に繋がらない人だと思ったような気がする。
今回これを読んで、アメリカと日本というふたつの文化のあいだで苛立ったりとまどったり悔しがったりしながら、明治の日本を見つめる18歳の津田梅子と初めて出会った。
やっと歴史が繋がった気がした(おじいちゃん草葉の陰でよろこんで!)
最後まで英語の方が自由に使えた彼女が、必死で日本語と格闘する様にも共感した。
10年ものあいだで進歩的なアメリカの家庭で生活したのちに帰国した梅子が日本の女たちの惨状について書いているところは日本国憲法に男女平等の条項を書き込んだベアテさんの「1945年のクリスマス」を思い出した。
「日本の女性の地位向上」に人生を使い切る覚悟の梅子さんにはちょっと肩の力を抜いたらと言いたくもなるけど、そこに繋がっていく女たちの歩みに、日本で生きる女で胸が熱くならない人はいないと思う。
維新の志士をえらく持ち上げる人がいるけど、今を生きる女の(当時であっても梅子の)視点で見ればどれだけ不道徳だったかもよくわかる一冊です。
まぁ、私が「維新」というフレーズに過剰反応しているだけかもしれませんが、歴史はもっと女子どもやマイノリティの虐げられた側から語られてもいいのではないかと最近よく思います。
あ、3/5は広瀬すずさんが津田梅子を演じるスペシャルドラマが豪華キャストであるらしいです。
この本を読んだ後では、さらに楽しめそう。
酒乱で若い奥さんを殴り殺したという説もある黒田清隆は誰が演じるのかな?