リカ活動家の日々のこと

リカちゃん人形に着物を仕立てて着せる沼に浸かる活動家。

本「カリフォルニア日系人強制収容所」(白井昇著)

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カリフォルニアに住んでいた10年くらい前、日系人と日本人が集まるパーティーで年配の女性に「ティーンの娘時代を私はキャンプ(強制収容所)で過ごしたのよ」と聞いた事がある。

 

仲良くなった日系アメリカ人の友達から「大学の途中で収容されたおじさんは、戦後に名誉を回復されてお爺さんになってから大学の卒業式に出た」と言う話も聞いた。

 

別の同世代の日系アメリカ人4世の知人は子どもたちにも伝えたいと、この出来事を絵本にしていた。

 

カリフォルニアの日系人社会の中では「強制収容所」はまだ歴史になっていない、自分の、親戚の話だった。

 

そんなこともあって帰国してからすぐに古本屋さんでこの本を買ったのに、やっと最近読み終えた。

 

第二次世界大戦中、日系人への米国民の感情は悪化。

「敵国の人間」として、カバンひとつで追われるように鉄条網の内側に閉じ込められ、バラック小屋での生活を余儀なくされた。

 

同じ敵国人でもドイツ系、イタリア系のアメリカ人は収容されず、日系アメリカ人だけが収容されたのは真珠湾攻撃だけが理由ではなく人種差別も根底にあったと言われている。

 

著者の白井氏は最も反抗的な人間が収容されると言うツールレーキー収容所で過ごした日々をかなり詳細に記録していた。

 

プリンストン大学で学ぶ知識人だった白井氏はキャンプ内の「人類学研究所」の、研究員だったこともある。

 

今にして思えば、アメリカ政府は早くから日本進駐を見越して、収容所内の日系人をモルモットとして研究していたフシもある。(204ページより引用)

 

 

 

初めから用意周到で勝ち目がない闘いを、アメリカの国土で見守っていた日本人もいたと言う歴史の事実に驚かされる。

 

とはいえ、ちょっと面白いエピソードもある。

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「ヒマをもたすと芸術的になる日本人」という箇所に載っている写真の鶴のクオリティはスゴイ。

 

もはや、大人としてキャンプにいた人から話を聞くことは難しくなった。

この本も40年も前に出版されている。

だからこそ、この本はもっと今の人に読まれていい一冊だと思う。