先月「らんたん」という長編を読んでから他にも読んでみたいと思っていたので柚木麻子さんのデビュー作とそれに連なる短編集を読んでみた。
デビューの時点で、ものすごい観察眼だなとびっくりする。
この人のように他者の印象を的確に漏れなく文章に移し替えることができる人が近くにいたら怖いけど、読む分には示唆に富んでいて面白い。
思春期の肥大した自己顕示欲や自意識や焦りだけじゃなく、諦めや停滞をこんなにリアルに覚えていられることがすごい。
(こんな子いたかもなぁ)(こんな自分だったなぁ)と大人になった私は読むけれど、思春期でこれを読んだら驚くんではないだろうか?
とはいえ、世田谷の私立お嬢様校の電車通学する女の子たちの暮らしは、田舎の公立高校に自転車で通っていた自分とはかなり違うところもあり興味深い。
冒頭で書いた「らんたん」では、作者自身が通った恵泉女学園の創始者・河井道の生涯をものすごい壮大なスケールで書いていて圧巻なのですが、きっとこの学校がモデルなんだろうな。
河井道が作った学校の百年後の女学生たちはこんな風なのかと感慨深い。
柚木さんの書く女の子たちは一人一人の個が、もがきつつも顔を上げていく。
そこに注がれる目線があったかい。
デビュー当時からシスターフッドに溢れる作風なんだなぁとちょっとうれしくなったのでした。
「らんたん」と違ってあッという間に読み終わるので是非!
でも、こっちも本当におススメなので連休で時間の取れる方は読んでほしい↓